紅茶が美味しいインド・ダージリンから1日東北に向かうとシッキム州に到着します。州都ガントクからさらに車で1日移動するとちいさなボン教僧院に辿り着きます。
ラバンダと似た名前のラバングラの峠をしばらく下ったところに創建されたのは90年代。ひとりの俗人ラマが私財を投じて建設したものです。
この僧院でボン教を学んでいるのはレプチャ族の子供たち。レプチャ族とは昔からシッキムに住んでいる人たちのことです。ボン教はヒマラヤの古い民族との絆をとても大切にしています。
チベット僧院はどこも運営が楽ではありませんが、そのなかでも有名なラマもいらっしゃらないようなちいさな所は特に大変です。一般の人の目が行きとどかないようなちいさな僧院は、チャリティー精神旺盛な外国人が手を差し伸べていることがよくあります。そのほとんどが女性なのです。
このちいさなボン教僧院でも、ドイツ人女性のウーシャがたいへん愛情のこもった支援を続けてくれています。ウーシャは古くからのヨンジン・テンジン・ナムダク・リンポチェのお弟子さんです。
この写真の中のウーシャ、とても幸せそうな表情をしています。チベットの文化や人々はとても不思議です。外国人である私たちの心をなぜか癒してくれるようです。チベットのダルマや瞑想を学ぶ醍醐味のひとつです。
この僧院では主に、瞑想や密教儀礼を中心にしたボン教教育がおこなわれているようです。向かってウーシャの左二つ隣りの方はメンリ僧院出身のゲシェで、経典のエキスパート。ウーシャの右にいる背の高い僧は私の友人で、ティテン・ノルブッツェ僧院瞑想学堂の卒業生です。
小僧の中でも成績優秀な子供なら、北インドにある総本山メンリ僧院に派遣され、より高度な教育を受ける機会が与えられます。